点滴について②(全3回)


2.ホメオスタシス(恒常性の維持)



 点滴は医療における画期的な発明で病からの解放に多大な役割を果たしてきたお話をしましたが、ここで少し生き物である人間の体の中で起こっている命を守る仕組みについて触れておきましょう。



 人間という生き物は地球という星が生んだ最高の作品ではないかと個人的に思っていますが、地球は46億年前に宇宙のチリと言われる様々な物質が集まって地球という星ができたと考えられています。


 時の流れの中で大気が生まれ、原始生命体が誕生し植物や動物へと進化を続け、ブループラネットと言われる美しい星となり現在があります。地球誕生から現在を1年の暦にして地球の歴史を見てみると、ホモサピエンスと言われる人類が誕生したのが20万年前と言われ、暦で言うと12月31日午後11時37分にあたります。

地球の誕生の歴史からすると人類は実に最近登場した新参者ですが、生命体としての完成度は相当高いと言えます。地球に対してあまり良いことをしてるは思われないので、完成度が高い評価は別の面からすると当たっていないのかもしれませんが・・・。


 生物としての人間の構造は、実に精巧で緻密にできている生命体です。細胞の数が60兆個あると言われ、それぞれの細胞が集まって組織や器官を形成し1個体を作っています。生物としての人間の個体は、精子と卵子が結合し十月十日お母さんのお腹の中で成長し赤ちゃんとしてこの世に生まれてきます。



 生まれた赤ちゃんは、生まれた瞬間から“おぎゃ、おぎゃ”と声を挙げます。これは泣いているのではなく、生きてゆくための肺呼吸を始めるための重要な行動なのです。そして誰に教えられた訳ではなくお母さんのおっぱいを上手に吸って栄養を補給します。赤ちゃんとして誕生した瞬間から人は自分自身で生命を維持するための機能が働き始め、明日への命を繋いでゆくのです。命を繋いでゆこうとする機能を“恒常性の維持;ホメオスタシス”と呼んでいます。


 ホメオスタシスとは、生物が生体の内部や外部の環境因子の変化にかかわらず体内環境を一定の状態に保とうとする機能で、自律神経や内分泌腺、免疫がその働きを担っていると言われています。ホメオスタシスを日常の生活で簡単に理解できる出来事として、お昼ご飯が近づくと無性にお腹が空きますよね、それに運動した後たくさん汗をかくと喉が渇くのを感じると思います。これは、人間は食物や水を体の外から取り入れることで、生きてゆくためのエネルギーを得てゆく必要があります。お腹が空くという感覚は体の中のエネルギーの元が不足していますよと体が信号を発してるからなのです。喉が渇くのも同じ理屈です。体の中の水分が不足していますよというサインなのです。お腹が空く、喉が渇くこの感覚は生命を維持するために重要な感覚でホメオスタシスの一つと言えます。



 口渇について少し医学的に解説してみましょう。口が渇く感覚は、血液の液状の成分である血漿の浸透圧の上昇が引き起こしていると考えられています。大量に汗をかいたり下痢や嘔吐で水分が多量に体外に出てゆくと血漿の濃度が上昇し浸透圧が高くなります。塩気の多い食事をした時も喉が渇きますが塩分の過剰摂取により血漿中のナトリウム濃度の上昇により浸透圧が高くなります。脳の中にある浸透圧受容体が浸透圧の上昇を感知して口渇の感覚を引き起こします。浸透圧受容体の刺激で下垂体からバソプレッシンというホルモンが分泌され、このホルモンは腎臓に働いて水分の再吸収を促し、尿として体外へ水分が出てゆくのを抑える訳です。口渇という感覚が、神経系を刺激しホルモンの作用が関与して脱水から体を守ろうと働いている訳です。人の体の生命の維持は、免疫を考えても理解いただけると思います。新型コロナウイルスのワクチンを打つことで、ウイルスを排除しようとする抗体が作られ、体内へウイルスが入ったとしても抗体が排除してくれ、発症を押される事に繋がり、ウイルス感染から身を守ってくれる訳です。