清貧
花が咲き
鳥が鳴く
それだけでも
どんなにこの世は
楽しいことか
お金をもうける
欲を捨て
せめて晩年でもいい
二度とない人生を
心平らかに
生きてゆこう
清貧に生きた
聖フランシスコのように
ー坂村真民「清貧」
<解説>
この詩は、真民が83歳の時の詩です。
この「清貧」という生き方は、坂村真民の最も尊敬する、聖フランシスコと、一遍上人とマザーテレサの生き方でもあるわけです。
私利私欲を求めず、食べるもの、着るもの、全てを質素に生きることを、生涯貫きとおした、この3人の聖者の生き方に、少しでも近づきたいと、思って生きてきた真民にとって、
83歳という、晩年を迎えて、これまでを反省して、せめてこれからでも、清貧の生き方をしてゆこうと、自分自身に言い聞かせている詩ですね。
真民がこの詩を書いた、平成4年は、日本のバブル景気が崩壊した翌年です。実体のない、バブル景気に浮かれた日本人の生き方に、反省を込めて書かれた詩であるとも言えます。
砥部町立坂村真民記念館
館長 西澤孝一
企画展
かなしみを あたためあって あるいてゆこう
村真民の世界
2021年10月1日(金)〜2022年2月27日(日)
坂村真民記念館
ー坂村真民ー
1909(明治42)年、熊本県玉名郡府本村(現・荒尾市)生まれ。本名、昻(たかし)。
八歳の時、父親が急逝し、どん底の生活の中、母を支えた。
神宮皇學館(現・皇學館大学)卒業後、熊本で教員となり、その後、朝鮮に渡って高等女学校、師範学校の教師に。
終戦後、愛媛県に移住し、高校の国語教師を勤めながら詩を作り続けた。毎月詩誌「詩国」を発行し無償で全国の読者に届ける。
58歳の時、砥部町に定住し、65歳で退職後は詩作に専念。
2006(平成18)年、97歳で永眠。
一遍上人を敬愛し、「タンポポ堂」と称する居を構え、毎日午前零時に起床。夜明けに重信川のほとりで地球に祈りを捧げるのが日課であった。
飾らない素朴な言葉で人生を歌い続け、その詩の数々は、多くの人に優しさや勇気、そして希望を与え続けている。さらに、慈しみの心にあふれた人柄や生き方は、老若男女幅広い層から支持されている。
(写真は90歳のときのものです)
ー坂村真民記念館 館長 西澤 孝一(にしざわ こういち)ー
(プロフィール)
愛媛県庁職員退職後、坂村真民記念館開館から館長に就任。真民の家族として最後を看取った。
(著 書)
「天を仰いでー坂村真民箴言詩集」(編集)(2019年、致知出版社)
「かなしみをあたためあってあるいてゆこう」(2017年、致知出版社)
「自分の道をまっすぐゆこう」(監修)(2012年、PHP研究所)
坂村真民記念館: 愛媛県伊予郡砥部町大南705
(TEL:089-969-3643)
(FAX:089-969-3644)
Comments