自戒
花のささやきが
きこえなくなったら
もうおしまいだ
石の声々が
消えていったら
もう駄目になった証拠だ
ー坂村真民「自戒」
<解説>
この詩は、真民が72歳の時の詩です。
坂村真民の詩には、こうした自分を戒めるための詩がたくさんあります。
自戒や、真民三訓、真民五訓といった題名の詩が、20篇以上作られています。
坂村真民の生き方を、一言で言えば、仏教の修行僧のような生き方であったといえます。
いつも自分を厳しく律して、人間としていかに生きるかを、常に自分自身に問い続けながら生きていました。
そういう真民にとっては、自分を戒め、自分の生き方を正す、こうした詩を、いつも作り続け、それを念頭に置いて生きることが、真民流の生き方でした。
この詩にあるように、真民は、いつも花や石と会話し、花の声,石の声を聞いて、詩を書いていましたので、その花や石の声が聞こえなくなることは、ダメな人間になってしまうことなのです。
砥部町立坂村真民記念館
館長 西澤孝一
※ポスター画像をクリックしていただくと
詳細が確認できます。
開館9周年記念特別展
海野阿育と坂村真民の世界
〜版画かれんだあに描かれた真民詩〜
2021年2月20日(土)〜2021年8月29日(日)
坂村真民記念館
ー坂村真民ー
1909(明治42)年、熊本県玉名郡府本村(現・荒尾市)生まれ。本名、昻(たかし)。
八歳の時、父親が急逝し、どん底の生活の中、母を支えた。
神宮皇學館(現・皇學館大学)卒業後、熊本で教員となり、その後、朝鮮に渡って高等女学校、師範学校の教師に。
終戦後、愛媛県に移住し、高校の国語教師を勤めながら詩を作り続けた。毎月詩誌「詩国」を発行し無償で全国の読者に届ける。
58歳の時、砥部町に定住し、65歳で退職後は詩作に専念。
2006(平成18)年、97歳で永眠。
一遍上人を敬愛し、「タンポポ堂」と称する居を構え、毎日午前零時に起床。夜明けに重信川のほとりで地球に祈りを捧げるのが日課であった。
飾らない素朴な言葉で人生を歌い続け、その詩の数々は、多くの人に優しさや勇気、そして希望を与え続けている。さらに、慈しみの心にあふれた人柄や生き方は、老若男女幅広い層から支持されている。
(写真は90歳のときのものです)
ー坂村真民記念館 館長 西澤 孝一(にしざわ こういち)ー
(プロフィール)
愛媛県庁職員退職後、坂村真民記念館開館から館長に就任。真民の家族として最後を看取った。
(著 書)
「天を仰いでー坂村真民箴言詩集」(編集)(2019年、致知出版社)
「かなしみをあたためあってあるいてゆこう」(2017年、致知出版社)
「自分の道をまっすぐゆこう」(監修)(2012年、PHP研究所)
坂村真民記念館: 愛媛県伊予郡砥部町大南705
(TEL:089-969-3643)
(FAX:089-969-3644)
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