「冬がきたら」
冬がきたら
冬のことだけ思う
冬を遠ざけようとしたりしないで
むしろすすんで
冬のたましいにふれ
冬のいのちにふれよう
冬がきたら
冬だけが持つ
深ときびしさと
静けさとを知ろう
冬はわたしに
いろいろのことを教えてくれる
ー坂村真民「冬がきたら」
<解説>
「冬がきたら」
この詩は、真民が61歳の時の詩です。
冬生まれの坂村真民は、冬の持つ厳しさ、純粋さ、孤独さというものを、特別大切にして生きてきました。
この詩も、そういう真民が、冬の深さと厳しさと、静けさを知るために、冬が来るのを待ちながら、すすんで冬の魂に触れることを、呼びかけている詩です。
この詩は、元は、10節からなる、長い詩なのですが、元ノートルダム清心学園理事長の、故渡辺和子さんが、その著書「置かれた場所で咲きなさい」の中で紹介して下さっているのが、この最初の部分で、今日はそれに合わせて、御紹介しました。
この詩の最後は、「冬は、孤独なわたしに与えられた魂の壺であり、宝の壺である。」と結ばれています。
冬がきたら、冬の持つ色々な宝を見つけ出して、冬を過ごしてみたいですね。
砥部町立坂村真民記念館
館長 西澤孝一
※ポスター画像をクリックしていただくと
詳細が確認できます。
開館9周年記念特別展
海野阿育と坂村真民の世界
〜版画かれんだあに描かれた真民詩〜
2021年2月20日(土)〜2021年6月13日(日)
坂村真民記念館
ー坂村真民ー
1909(明治42)年、熊本県玉名郡府本村(現・荒尾市)生まれ。本名、昻(たかし)。
八歳の時、父親が急逝し、どん底の生活の中、母を支えた。
神宮皇學館(現・皇學館大学)卒業後、熊本で教員となり、その後、朝鮮に渡って高等女学校、師範学校の教師に。
終戦後、愛媛県に移住し、高校の国語教師を勤めながら詩を作り続けた。毎月詩誌「詩国」を発行し無償で全国の読者に届ける。
58歳の時、砥部町に定住し、65歳で退職後は詩作に専念。
2006(平成18)年、97歳で永眠。
一遍上人を敬愛し、「タンポポ堂」と称する居を構え、毎日午前零時に起床。夜明けに重信川のほとりで地球に祈りを捧げるのが日課であった。
飾らない素朴な言葉で人生を歌い続け、その詩の数々は、多くの人に優しさや勇気、そして希望を与え続けている。さらに、慈しみの心にあふれた人柄や生き方は、老若男女幅広い層から支持されている。
(写真は90歳のときのものです)
ー坂村真民記念館 館長 西澤 孝一(にしざわ こういち)ー
(プロフィール)
愛媛県庁職員退職後、坂村真民記念館開館から館長に就任。真民の家族として最後を看取った。
(著 書)
「天を仰いでー坂村真民箴言詩集」(編集)(2019年、致知出版社)
「かなしみをあたためあってあるいてゆこう」(2017年、致知出版社)
「自分の道をまっすぐゆこう」(監修)(2012年、PHP研究所)
坂村真民記念館: 愛媛県伊予郡砥部町大南705
(TEL:089-969-3643)
(FAX:089-969-3644)
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