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中橋 恒がお話しします。第一章 準備するということ(2)


~南海放送ラジオ「死に学び生を考える」に寄せられたリスナーからの質問をもとに緩和ケア医として終末期医療に携わっている松山べテル病院院長の中橋 恒が綴るエッセイ~


第1章 準備するということ



(2)残された時間を自分らしく生きるために


2017年に国民を対象として人生の最終段階における医療に関する意識調査が行われました。その中に以下のような興味深い結果が出ています。


1.人生の最終段階における医療・ケアについてこれまでに考えたことがある ⇒60%

2.人生の最終段階における医療・ケアについてこれまでにご家族等や医療介護関係者と話し合ったことがある⇒3%

3.自分が受けたい医療・ケアをあらかじめ書面に残しておくことに賛成である ⇒66%

4.実際に自分が受けたい医療・ケアをあらかじめ書面に残している人     ⇒3%


自分の人生の最後をどの様にしたいかと問われると、2/3の方がきちんとした答えを持っているにもかかわらず、殆どの人が実際に実行に移していない現状があることが示されています。

このような現状を踏まえて国は“人生会議”(アドバンス・ケア・プランニング)という考え方を推し進めています。最近は医療機関に冊子として置いてあったり、ネットで気軽に情報が手に入るようになっていますので、関心のある方は是非検索してみてほしいと思います。

人生会議(アドバンス・ケア・プランニング)とは、『万が一の時に備えて、自分が大切にしていることや希望、どんな医療やケアを受けたいかについて、自分自身や、自分が信頼している人と話し合ったりする事』と定義されています。今の自分には前持って話し合う事は必要はないと思っている方もいるかもしれません。しかし、万が一の出来事のために自分の気持ちが話せない状況になった時に、前もって話し合いをしていると、自分が思う医療やケアを受けることができて、家族や信頼している人への負担の軽減にも繋がる大切なことだと思います。


ー(3)へ続く

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