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真民さんからの言葉 第十一回「かなしさ」


かなしさ

男のかなしさ

女のかなしさ

どうすることもできない

人間のかなしさ

それをしっかと知っていた

一遍さん

だからわたしは

この人を慕い

この人のあとをついてゆくのだ


ー坂村真民「かなしさ」



<解説>

この詩は、真民が76歳の時の詩です。

一遍上人は、36歳の時に、武士の身分を捨てて再出家します。その時、女性を3人連れて旅に出るのです。

真民は、この場面を見て、一遍上人の優しさに心ひかれた、と書いています。

この当時は、鎌倉時代ですね、まだ仏教は、女性に対しては、門を閉ざしていました。高野山も女人禁制でしたね。

そういう時代に、女性を連れて出家し、遊行の中で、女性にも平等に「お札」を配り、信者を増やし、遊行の一行の中にも、数十名の女性がいたと言われています。

色んな悩みや事情を抱え、一遍にすがり、遊行の集団に加わった女性の思いを、一遍は、しっかり受け止め、共に歩くことで、彼女たちの悩みや悲しさを、救ってくれたのでした。

こういう一遍上人の、人間らしさが、真民は、本当に好きだったのですね。


砥部町立坂村真民記念館

館長 西澤孝一



 


※ポスター画像をクリックしていただくと

詳細が確認できます。


開館9周年記念特別展

海野阿育と坂村真民の世界

〜版画かれんだあに描かれた真民詩〜


2021年2月20日(土)〜2021年8月29日(日)


坂村真民記念館




 


ー坂村真民ー


1909(明治42)年、熊本県玉名郡府本村(現・荒尾市)生まれ。本名、昻(たかし)。

八歳の時、父親が急逝し、どん底の生活の中、母を支えた。

神宮皇學館(現・皇學館大学)卒業後、熊本で教員となり、その後、朝鮮に渡って高等女学校、師範学校の教師に。

終戦後、愛媛県に移住し、高校の国語教師を勤めながら詩を作り続けた。毎月詩誌「詩国」を発行し無償で全国の読者に届ける。

58歳の時、砥部町に定住し、65歳で退職後は詩作に専念。

2006(平成18)年、97歳で永眠。

一遍上人を敬愛し、「タンポポ堂」と称する居を構え、毎日午前零時に起床。夜明けに重信川のほとりで地球に祈りを捧げるのが日課であった。

飾らない素朴な言葉で人生を歌い続け、その詩の数々は、多くの人に優しさや勇気、そして希望を与え続けている。さらに、慈しみの心にあふれた人柄や生き方は、老若男女幅広い層から支持されている。

(写真は90歳のときのものです)



 


ー坂村真民記念館 館長 西澤 孝一(にしざわ こういち)ー


(プロフィール)

愛媛県庁職員退職後、坂村真民記念館開館から館長に就任。真民の家族として最後を看取った。


(著 書)

「天を仰いでー坂村真民箴言詩集」(編集)(2019年、致知出版社)

「かなしみをあたためあってあるいてゆこう」(2017年、致知出版社)

「自分の道をまっすぐゆこう」(監修)(2012年、PHP研究所)


坂村真民記念館: 愛媛県伊予郡砥部町大南705 

(TEL:089-969-3643)

(FAX:089-969-3644)


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